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市長のコラム

2匹のカエル  (平成19年12月11日)

 おかげさまで、仕事柄いろいろな講演を拝聴する機会に恵まれます。
 つい最近、私なりに心に深く響いた話がありましたので、ここに紹介したいと 思います。ただ、乏しい文章力と限られた字数でその中身をどれだけ伝えることができるか、非情に心許ないところですが、「受け売り」との批判をいただくことがあったとしても、是非披露したいと思います。

場面は牧場です。
友情で結ばれた2匹の蛙が歩いています。
ふりそそぐ太陽の下、もうずいぶん歩いたでしょうか。
「のどが渇いたなぁ。」
水がこいしくなってきました。
そのとき、2匹にとってはちょうどいいプールが現れました。
「ここで、泳いでいこう。」
2匹は、迷わず飛び込みました。
しばらくの間、2匹は快適なプールの中で泳ぎました。
「ああ、楽しかった。もうそろそろ上がろうか。」
どちらからともなく言いました。
しかし、どうしたことでしょう。なかなか外に出ることが出来ません。
2匹は、必死に出ようとするのですが、そうはいかないのです。
よく見ると、そこはバケツの中で、しかも中身は水ではなく牛乳でした。だからよけいに滑るのか、一生懸命もがいても外に出ることが出来ないのです。
2匹は、何とか外に出ようと頑張りました。
しかし、懸命の努力の甲斐もなく時間だけが過ぎていき、疲労がピークに達しようとしています。
それでも2匹は、互いに励まし合いながら必死に頑張りました。
しかし、現状は変わりません。体力の限界を迎える中、1匹の蛙が考えました。
「どんなに考えてもこの現状は変わらない、この場から逃れることはできない。」
そして言いました。
「もうこれ以上頑張ってもどうにもならない。もう、手足を動かすことをやめるよ。」
「もう少しがんばろうよ。」
もう1匹の蛙がかけるその声もむなしく、手足を動かすことをやめて沈んでいきました。
「どうしよう。もうこれ以上頑張っても無理かな。」
そんなことが頭をよぎる中、残された方の蛙は決心します。
「この現実は如何ともし難い。しかし、現実を受け入れるしかない。そうだ、この現実をそのまま受け入れ、命のある限り生きよう。生きることに徹しよう。」
そうして、もう一度手足を動かし始めました。
手足を動かすことで起きる波に逆らわず、波に身を委ね、波と一緒になって泳ぎました。
すると不思議なことに、もがき苦しんでいた時よりも少しは楽になった気がします。

どれほどの時間が経ったでしょう。
ふとまわりを見渡すと微妙な変化が現れ始めていました。
蛙は、なおも手足を動かしました。
するとまわりの変化は、より確実なものとなりました。
まわりの状況が変わったのです。
そして、蛙は、ついに外に出ることができ助かりました。

という話です。
 ここで「まわりの変化」とは如何なるものか、どのような変化が起きたのでしょうか。それは、「蛙が無心に動かした手足での攪拌によって牛乳がバターになった、つまり固形化した。それを踏み台にしてバケツの外に出ることができた。」というのです。
 「なぁんや。そんなことか。」そんな声が聞こえて来そうですが、そう言わずにこの話をじっくり味わっていただきたいと思います。もちろん私なりの解説を大いに語りたいところですが、これ以上は、この話の本質を理解する妨げになってはいけませんので、あえて控えたいと思います。
 後は、皆さんそれぞれが、この話の場面を想い描いた上で、何かを感じとっていただければ幸いです。

 平成19年12月11日

shomei    

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最終更新日:2022330