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平成30年度一般会計及び特別会計決算審査の概要

決算審査の概要

 平成30年度の一般会計及び特別会計を合わせた総決算額は、各会計の「実質収支に関する調書」によると、歳入総額669億2,154万8千円、歳出総額653億5,725万円となっており、前年度に比べ歳入は2.04%減少、歳出も2.20%減少の決算となっている。

 収支の状況を実質収支でみると、一般会計は16億9,739万6千円の黒字、15の特別会計の合計は4億265万2千円の赤字となっているが、一般会計と特別会計の総計では12億9,474万4千円の黒字決算となっている。基金の残高は、前年度より769万3千円減の240億9,342万9千円となっている。

 一般会計の歳入総額446億7,291万1千円を構成比率でみると、自主財源は31.66%(前年度33.73%)、依存財源は68.34%(同66.27%)となっている。自主財源の根幹をなす市税収入は、市民税(法人)、軽自動車税が増加し、市民税(個人)、固定資産税、市たばこ税、入湯税、都市計画税は減少しており、前年度に比べ3,365万5千円(0.41%)減の81億1,076万5千円となっている。一般会計の歳出総額427億596万1千円を構成比率でみると、消費的経費は57.28%(前年度59.51%)、投資的経費は15.83%(同8.49%)、その他の経費は26.90%(同32.00%)となっている。

 一般会計と特別会計の収入未済額の総計は12億4,896万8千円で、前年度に比べ1億6,405万9千円(11.61%)の減となっており、納付指導、口座振替の推進、コンビニエンスストアでの納付のほか、市税等では夜間延長窓口の開設など納税環境の整備や納税推進員による電話督励、和歌山地方税回収機構への税債権の移管や差押えなど、収納率向上への取組に一定の成果が現れてきている。また、平成30年度途中から市税や国民健康保険税等において、窓口でキャッシュカードによる口座振替即日登録受付サービスを開始し、納税者の利便性向上を図り、更なる収納率向上への取組を進めている。

 しかしながら、収入未済額は多額であるので、税等の負担の公平性を保つこと、また貴重な財源確保の面からも、納付意識の高揚に努めるなどし、収納率の向上になお一層努力されるよう要望するものである。加えて、収入未済額の管理、不納欠損の処理について、民法改正等法令への速やかな対応も望むところである。

 平成30年度の普通会計における財政状況を財政分析の指標からみると、財政上の能力を示す財政力指数は0.376(前年度0.381)であり、財政構造の弾力性を示す経常収支比率は96.66%(同95.61%)で、前年度より1.05ポイント上昇している。また収入の安定性を推測する経常一般財源比率は96.13%(同95.96%)と0.17ポイント上昇している。

 地方債の償還に充てた一般財源の割合を示す公債費比率は9.0%(同8.7%)で、前年度より0.3ポイント上昇しており、実質公債費比率も8.1%(同7.9%)と0.2ポイント上昇しているが、地方債の発行に県知事の許可が必要となる18%を大きく下回っている。

 一方、市では平成29 年7月に今後10年間のまちづくりの指針となる「第2次田辺市総合計画」を策定し、基本理念として「一人ひとりが大切にされ、幸せを実感できるまちづくり」を継承し、将来像を「人と地域が輝き、未来へつながるまち田辺」として描き、基本方向を「人」、「活力」、「安全」、「希望」、「安心」、「快適」を軸として、「連携・協働・参画」、「地域コミュニティ力」、「健全な行財政運営」、「広域連携」の計画推進を示している。将来像の実現に向けて、重点プロジェクトとして「人材育成プロジェクト」を基本に「価値向上プロジェクト」、「発信・交流プロジェクト」、「強靭化プロジェクト」、「暮らし充実プロジェクト」を位置付けしている。前年度から引続き、景観まちづくり刷新事業をはじめ、扇ヶ浜公園整備事業、新庁舎整備事業、斎場建設事業、大坊小学校建築事業や三里小学校建築事業、学校施設等耐震改修事業など数多くの大型プロジェクトを進めている。これ以外にも、社会保障費の増加、多額の公債費負担に加え、産業振興、防災・減災対策、公共施設の更新など多くの重要課題に対応するため多額の財政需要が見込まれるものと考えられる。

 今後の事業の実施に当たっては、経済性、効率性、有効性等について検証し、限られた財源の有効かつ効率的な活用を更に図られたい。そして、「第2次田辺市総合計画」をはじめとする各計画に掲げた政策の達成を目指すとともに、「田辺市人口ビジョン」と「田辺市まち・ひと・しごと創生総合戦略」を踏まえ、中・長期的かつ統一的な展望に基づいた安定的な行財政の運営を推進し、市政発展と市民福祉の増進に努められるよう望むものである。

 さて、平成30年3月に田辺市生活保護費不適正処理事件再発防止検討委員会による報告書が出され、再発防止策に対する意見等が全庁的に周知されたが時を置かずにして、平成30年5月にイセエビの放流及び海面環境保全事業に係る補助金において不適正な会計処理が発覚した。このため、平成29年度一般会計歳入歳出決算が議会において不認定とされた。

 この問題の発覚により、市は調査専任職員を配置し、全容の解明に向けて膨大な数に及ぶ証拠書類の調査を進め、また、担当課では、事業補助金交付要綱を整備し、補助対象を明確化するなどの取組をした。引き続き再発防止を目指す取組を継続されたい。

 平成29年改正の地方自治法では、地方公共団体の事務執行の適正を確保する取組として、令和2年4月から都道府県知事及び指定都市の市長に、内部統制に関する方針の策定及び内部統制の整備が義務付けられた。指定都市以外の市町村の長については努力義務とされているが、衆議院総務委員会及び参議院総務委員会の改正法に対する附帯決議では、指定都市以外の市町村の長についても、内部統制に関する取組を積極的に推進すべきとされた。その後、平成31年3月には、国から内部統制制度の導入・実施ガイドラインが示された。

 さらに、監査制度の充実強化の一環として、監査委員は「監査基準」を定め、公表することとされている。令和2年4月から監査基準に従い監査等のより適切かつ有効な実施を図るため、監査基準を令和元年度中に策定しなければならない。

 市においても、財務に関する事務について立て続けに不適正な会計処理が発生していることを鑑み、信頼される市役所を目指して職員が一丸となって再発防止に強い意志で取り組まれたい。また、これまで以上にガバナンスの構築に傾注され、職員のコンプライアンスの推進やリスク管理等を徹底し、各担当業務や管理体制を十分に理解したうえで内部統制の推進について今後検討されたい。

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最終更新日:2020116