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令和3年度 水道事業会計決算審査の概要

決算審査の概要

 この決算審査は、田辺市監査基準(令和2年田辺市監査委員告示第1号)に準拠している。

 令和3年度の総配水量は1,073万4,185㎥、一日平均配水量は2万9,409㎥、総有収水量は904万6,655㎥、前年度より配水量は増加し、有収水量は減少している。有収率は前年度より1.79ポイント減少の84.28%となって、前年度の全国平均値87.26%に比べ低い状況にある。有収水量1㎥当りの供給単価は153円55銭、給水原価は前年度に比べ5円97銭安く121円09銭で、差引き32円46銭の差益が生じている。限りある水資源を無駄なく水道水として利用していくことは、経営面だけでなく環境保全面からも大切である。今後とも漏水調査と老朽管の計画的な更新を推進し、有収率の向上に取り組まれたい。

 次に、令和3年度の経営収支状況をみると、水道事業収益は19億8,541万962円で、水道事業費用は16億4,701万9,014円となっている。水道事業収益の大半を占める給水収益(水道料金)は、前年度に比べ1,278万7,666円(0.91%)減の13億8,908万16円となっている。給水収益は、令和3年度においてコロナ禍の影響による減少については改善傾向にあると推測されるものの、給水人口の減少や節水型機器の普及等のため引き続き年々減少している傾向にある。それでも、水道事業収益と水道事業費用を差引きすると、令和3年度は前年度に比べ7,117万3,769円(26.64%)増となって3億3,839万1,948円の純利益が計上されている。その中でも水道料金については、営業収益の根幹を成すものであることから、引き続き収納率の向上につながるよう努められるとともに、未収金の管理及び不納欠損処理に係る債権管理について、コロナ禍による支払猶予などの納付相談も踏まえながら、今後も引き続き健全経営の持続を強く望むものである。

 一方、南海トラフを震源とした大規模地震をはじめ自然災害に備えるため、小泉浄水場の津波浸水対策をはじめとした重要な課題である水道施設の耐震化・機能強化及び老朽施設の更新、管理など、強靭な水道施設の整備など災害時における水資源の確保に向けて引き続き取り組まれたい。なお、令和3年度において、小泉浄水場整備事業に伴い厚生労働大臣への水道事業変更に認可申請を行っている。計画給水人口と一日配水能力を実態に合わせ、給水人口に対して適切な水量を供給できるよう見直しを図られた。また、経営基盤の強化のため、下平水系・下附水系施設統合整備事業をはじめとした旧簡易水道施設の集約など積極的な取組を推し進められ、いかに効率的に水資源を確保できるのか将来に向けて引き続き研究されたい。

 これらの課題対応には、簡易水道事業統合による影響に加え、市内全域にわたる給水人口の減少が続くこと、節水型機器の普及、コロナ禍の影響も受け、水道料金収入の減少等に伴い、経営環境の厳しい状況が今後とも続くものと思われる。その中で、資金の調達方法として、市の一般会計からの補助や企業債を有効に活用しつつ、水道料金の値上げについては、中長期的な観点に立って慎重に検討されたい。なお、一般会計から補助を受けることや、新たに企業債の発行により財源を確保する際には、一般会計への負担や水道事業会計への将来に及ぶ負担を考慮されたい。企業債は財政規模に見合う規模での借入を行い、計画的な償還に取り組むなど、健全な水道事業運営の持続に努められたい。

 安全で安心な水道水を確保し安定的に供給するため、水道技術の継承といった人材育成をはじめ、中長期的な視点を踏まえた一層の企業努力を講じられ、適切な資本の投入や、資金の確保と経費の節減を図るなど経営の効率化を高め、市民サ-ビスの向上に努められるよう強く望むものである。

 また、令和3年10月に発生した和歌山市での水管橋崩落事故の報を受け、本市からも応援職員を派遣し任務に当たられた。全国的に水道基盤の老朽化対策が課題とされている中、本市においても日頃からの点検には万全を期して取り組まれたい。

 最後に、給水人口や料金収入の減少、水道施設の更新需要の増大及び集約、自然災害への対応等、水道を取り巻く環境の転換期の中、「田辺市新水道ビジョン」に基づき、水道事業の将来を見据え、様々な課題にも応えながら“地域とともに未来へつなぐ安全で安心な水道”が築かれることを期待する。

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最終更新日:2023118