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令和4年度 一般会計及び特別会計決算審査の概要

決算審査の概要

 この決算審査は、田辺市監査基準(令和2年田辺市監査委員告示第1号)に準拠している。

 令和4年度の一般会計及び特別会計を合わせた総決算額は、歳入総額690億9,832万8,687円、歳出総額661億1,775万3,875円となり、前年度に比べ歳入は6.30%減、歳出も6.52%減の決算となっている。

 令和4年度の特筆すべき事項として、数年来続く新型コロナウイルスの感染症による影響は緩和されてきているが、社会情勢に起因する物価高騰による大きな影響を受けての財政運営となっている。

 収支の状況を実質収支でみると、一般会計は21億4,667万7,965円の黒字、13の特別会計の合計は2億703万7,739円の黒字となり、一般会計と特別会計の総計では23億5,371万5,704円の黒字決算となっている。基金の残高は、前年度より3億7,285万9,698円増の265億2,459万8,299円となっている。

 一般会計の歳入総額464億333万4,028円を構成比率でみると、自主財源は31.49%(前年度28.42%)、依存財源は68.51%(同71.58%)となっている。自主財源の根幹をなす市税収入は、前年度に比べ1億5,311万4,184円(1.86%)増の83億9,687万5,796円となっている。一般会計の歳出総額436億2,982万4,955円を構成比率でみると、消費的経費は64.11%(前年度59.59%)、投資的経費は10.57%(同12.91%)、その他の経費は25.32%(同27.50%)となっている。

 令和4年度の普通会計における財政状況を財政分析の指標からみると、財政上の能力を示す財政力指数は0.392(前年度0.374)であり、財政構造の弾力性を示す経常収支比率は99.32%(同92.62%)で、前年度より6.70ポイント上昇している。また、収入の安定性を推測する経常一般財源比率は、99.58%(同98.07%)と前年度より1.51ポイント上昇している。地方債の償還に充てた一般財源の割合を示す公債費比率は7.7%(同7.1%)で前年度より0.6ポイント上昇、実質公債費比率は8.2%(同8.6%)で前年度より0.4ポイント低下して、地方債の発行に県知事の許可が必要となる18%を大きく下回っている。

 一般会計と特別会計の収入未済額の総計は8億5,744万8,623円で、前年度に比べ648万3,200円(0.76%)の増となっている。市税や国民健康保険税をはじめ数々の使用料においては、納付指導の他、口座振替の推進、コンビニエンスストア並びにスマートフォンアプリでの納付など納付環境の利便性向上を図り、特に市税等では納税推進員による電話督励、夜間延長窓口の開設、さらには和歌山地方税回収機構への税債権の移管や差押えなどの取組を進めていることで、収納率向上に一定の成果が表れてきている。

 しかしながら、税債権以外にも使用料等の債権も含めた収入未済額は多額であるので、負担の公平性を保つこと、また貴重な財源確保の面からも、納付意識の高揚に努めるなどし、収納率の向上になお一層努力されるよう要望するものである。加えて、収入未済額の管理、不納欠損の処理といった統一された基準に基づく債権管理についての重要性が増していることを踏まえ、債権管理条例の制定を望むところである。

 ところで、本市では、近年、安定した財政状況を継続されているが、普通交付税の合併特例措置が終了し一本算定となり、さらに、合併特例事業債も数年先には発行可能額の全額を借り入れる見込みである。このような状況の下、有利な地方債の活用、森林環境譲与税等の幅広い活用並びに自主財源の確保に努められたい。

 この森林環境譲与税の本市への交付額は全国屈指で注目されている中、その活用方針等を含む森づくりの基本構想である「田辺市森づくり構想」に基づく事業を実施されており、今後の更なる展開に期待したい。

 令和4年度は、完成が近づきつつある新庁舎整備事業をはじめ、本宮小学校建築事業、稲成公民館建築事業等を実施された。ハード事業からソフト事業への軸足の転換が進められていく中、これまでに整備された施設を活かしたまちづくりが問われることになるものと思われる。さらに、現市庁舎の跡地利用を含めた中心市街地の活性化に資する田辺湾岸エリアを見据えた「田辺ONE未来デザイン」、脱炭素社会の実現に向けた地域脱炭素化の推進、SDGsの推進、自治体DX、社会保障費の増加、公債費の負担、産業振興、防災・減災対策、公共施設や設備の更新など多くの重要課題に対応するため多額の財政需要が見込まれるものと考えられる。

 数年来続くコロナ禍に加え、エネルギー価格や物価高騰により日常生活において様々な活動が制約されるなど市民生活や地域経済に多大な影響を受けている。こうした中、本市においても、市民生活の支援及び地域経済の下支えとして、国の補助事業により、住民税非課税世帯等を対象とした臨時特別給付金給付事業をはじめ、子育て世帯生活支援特別給付金給付事業、電力・ガス・食料品等価格高騰緊急支援給付金給付事業等を実施された。また、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を活用し、当地域の状況を踏まえる中で、全市民を対象とした市民生活応援商品券事業をはじめとした生活支援、事業者向け支援や学校教育支援、地域活性や観光の需要喚起、さらに感染防止に向けた対応などの事業にその財源を十二分に活用された。交付金を活用して実施した数々の事業が、より大きな効果を上げられているよう望むところである。

 今後の事業の実施に当たっては、経済性、効率性、有効性等について検証し、限られた財源の有効かつ効率的な活用を更に図られたい。特に、近い将来、多くの公共施設や設備の更新時期が到来するものと推測されるが、存続あるいは廃止を適正に判断されたい。そして、「第2次田辺市総合計画」や、令和4年10月に策定した「田辺市SDGs未来都市計画」など各計画に掲げた政策の達成を目指すとともに、「田辺市人口ビジョン」と「第2期田辺市まち・ひと・しごと創生総合戦略」を踏まえ、中長期的かつ統一的な展望に基づいた安定的な行財政の運営を推進し、市政発展と市民福祉の向上に努められるよう望むものである。

 ところで、市は、公務員倫理の確立をするべく、組織としてさらに自浄能力を発揮するため、綱紀粛正の徹底、公金取扱の厳格化について重点的な取組を続けられている。職員全員が、公金管理のあり方や補助金の交付事務、加えて各課等で管理している団体のいわゆる準公金の管理のあり方を検証し、さらには公金の使途や資産の管理のあり方も検証し厳格なチェック体制を確立させ徹底するなど、公務員としての自覚を持って職務に専念されたい。市としての取組を引続き見守りたい。

 この一連の取組は、平成29年改正の地方自治法での内部統制に関する方針の策定及び内部統制体制の整備に通じていると思われる。内部統制制度の導入は、現行では都道府県知事及び指定都市の市長に義務付けられており、指定都市以外の市町村の長については努力義務とされているが、衆議院総務委員会及び参議院総務委員会の改正法に対する附帯決議では、指定都市以外の市町村の長についても、内部統制に関する取組を積極的に推進すべきとされている。市全体として、制度の導入に向けて機運を高め、導入に向けての具体的な取組を望むところである。

 最後に、コロナ禍による制約が緩和されてきている状況の下、これまで以上にガバナンスの構築、職員のコンプライアンスの推進、リスク管理等を徹底し、各担当業務や管理体制を十分に理解した上で今後職務に精励されることを強く希望する。

 そして、本市においては、最大の課題でもある人口減少が進んでいる中で、どのように持続可能な将来につなげていくのか、職員一人一人が展望を持って、積み上げてきた行政経験を基に、田辺市のキャッチフレーズでもある「未来へつながる道 田辺市」を実現できるよう努力されることを期待する。

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最終更新日:2024219