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令和4年度 水道事業会計決算審査の概要

決算審査の概要

 この決算審査は、田辺市監査基準(令和2年田辺市監査委員告示第1号)に準拠している。

 令和4年度の総配水量は1,052万530㎥、一日平均配水量は2万8,823㎥、総有収水量は888万2,024㎥、前年度より配水量、有収水量ともに減少している。有収率は前年度の84.28%に比べ0.15ポイント増加の84.43%となって、前年度の全国平均値87.57%に比べ低い状況にある。有収水量1㎥当りの供給単価は154円44銭、給水原価は129円59銭で、差引24円85銭の差益が生じている。限りある水資源を無駄なく水道水として利用していくことは、経営面だけでなく環境保全面からも大切である。最新技術を活用した漏水調査と老朽管の計画的な更新を推進し、有収率の向上に取り組まれたい。

 次に、令和4年度の経営収支状況をみると、水道事業収益は19億888万6,458円で、水道事業費用は16億5,129万5,478円となっている。水道事業収益の大半を占める給水収益(水道料金)は、前年度に比べ1,735万4,536円(1.25%)減の13億7,172万5,480円となっている。給水収益は、コロナ禍の影響から緩和されつつあると見受けられるものの、給水人口の減少や節水型機器の普及等のため引き続き年々減少している傾向にある。それでも、水道事業収益と水道事業費用を差引きすると、令和4年度は前年度の3億3,839万1,948円に比べ8,080万968円(23.88%)減となっているが2億5,759万980円の純利益が計上されている。その中でも水道料金については、営業収益の根幹を成すものであることから、引き続き収納率の向上につながるよう努められるとともに、未収金の管理及び不納欠損処理に係る債権管理について、今後も引き続き健全経営の持続を強く望むものである。

 一方、南海トラフを震源とした大規模地震をはじめ自然災害に備えるため、小泉浄水場の津波浸水対策をはじめとした重要な課題である水道施設の耐震化・機能強化及び老朽施設の更新、管理、強靭な水道施設の整備など災害時における水資源の確保に向けて引き続き取り組まれたい。また、経営基盤の強化のため、下平水系・下附水系施設統合整備事業をはじめとした旧簡易水道施設の集約など積極的な取組を推し進められ、いかに効率的に水資源を確保できるのか将来に向けて引き続き研究されたい。

 コロナ禍の影響は緩和されつつあるものの、簡易水道事業統合による影響に加え、市内全域にわたる給水人口の減少や節水型機器の普及による水道料金収入の減少、社会情勢の影響によるエネルギー価格の高騰など経営環境の厳しい状況が今後とも続くものと思われる。その中で、資金の調達方法として、市の一般会計からの補助や企業債を有効に活用しつつ、水道料金の値上げについては、中長期的な観点に立って慎重に検討されたい。なお、一般会計から補助を受けることや、新たに企業債の発行により財源を確保する際には、一般会計への負担や水道事業会計への将来に及ぶ負担を考慮されたい。企業債は財政規模に見合う規模での借入れを行い、計画的な償還に取り組むなど、健全な水道事業運営の持続に努められたい。

 安全で安心な水道水を確保し安定的に供給するため、水道技術の継承といった人材育成をはじめ、中長期的な視点を踏まえた一層の企業努力を講じられ、適切な資本の投入や、資金の確保と経費の節減を図るなど経営の効率化を高め、新たな収入源の確保に向けた検討をしつつ、市民サ-ビスの向上に努められるよう強く望むものである。

 水道基盤の老朽化対策が課題とされている中、日頃からの点検には万全を期して取り組まれるとともに、緊急時にも災害時にも直ちに対応できるよう体制維持に引き続き努められたい。さらに、近づきつつある新庁舎移転に向けて、効率的な業務体制を整備されたい。

 最後に、給水人口や料金収入の減少、水道施設の更新需要の増大及び集約、自然災害への対応等、水道を取り巻く環境の転換期の中、「田辺市新水道ビジョン」に基づき、水道事業の将来を見据え、様々な課題にも応えながら“地域とともに未来へつなぐ安全で安心な水道”が築かれることを期待する。

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最終更新日:2024219