上場株式等に係る配当所得等及び譲渡所得等の課税方式の選択について
概要
平成29年度税制改正で、上場株式等に係る配当所得等及び譲渡所得等の課税方式について、所得税と住民税(市民税・県民税)で異なる課税方式を選択できることが明確化されました。
ただし、令和4年度税制改正により、令和6年度以降は、所得税と異なる課税方式の選択ができなくなります(※下記参照)ので、確定申告を行う場合はご注意ください。
上場株式等の配当所得等の課税方式
課税方式 |
合計所得金額への算入 |
配当控除の適用 |
上場株式等の 譲渡損失との損益通算及び繰越控除 |
事業所得等の 総合課税所得との損益通算 |
---|---|---|---|---|
総合課税 |
算入する |
あり |
できない |
できる |
分離課税 |
算入する |
なし |
できる |
できない |
申告不要 |
算入されない |
なし |
できない |
できない |
上場株式等の譲渡所得等の課税方式
課税方式 |
合計所得金額への算入 |
譲渡損失の翌年以後への繰越控除 |
---|---|---|
分離課税 |
算入する |
できる |
申告不要 |
算入されない |
できない |
住民税において所得税と異なる課税方式を選択する場合
住民税の納税通知書(税額決定通知書を含む。)が送達されるまでに、所得税の確定申告とは別に、『市民税・県民税申告書(上場株式等の所得に関する住民税申告不要等申出書)』を提出してください。
ただし、所得税の確定申告において申告した上場株式等に係る配当所得等及び譲渡所得等について、住民税ではその全額を申告不要とする場合には、確定申告書第二表の住民税に関する事項「特定配当等の全部の申告不要」(確定申告書A)又は「特定配当等・特定株式等譲渡所得の全部の申告不要」(確定申告書B)を選択することにより、「市民税・県民税申告書(上場株式等の所得に関する住民税申告不要等申出書)」の提出を省略することができます。
市民税・県民税申告書(上場株式等の所得に関する住民税申告不要等申出書)(26KB)
この申告書を提出する際は、以下の書類の写しを添付又は提示してください。
●確定申告書(所得の内訳書を含む。)の控え
●株式等の取引明細がわかるもの・・・特定口座年間取引報告書、支払通知書等
●個人番号(マイナンバー)確認書類及び本人確認書類・・・マイナンバーカード等
確定申告における繰越損失と住民税申告における繰越損失が異なる場合
住民税の納税通知書(税額決定通知書を含む。)が送達されるまでに、所得税の確定申告とは別に、『上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除明細書』を提出してください。提出がない場合、翌年以降、住民税申告における繰越控除額が少なくなる場合があります。
確定申告における繰越損失と住民税申告における繰越損失が異なる場合とは、過去3年以内に生じた上場株式等に係る譲渡損失があり、当該年度の上場株式等に係る配当所得等及び譲渡所得等の申告にて、所得税においては分離課税を選択し繰越控除の適用を受けたが、住民税においては申告不要を選択した場合などがあります。
市民税・県民税申告用 上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除明細書(22KB)
この明細書を提出する際は、『市民税・県民税申告書(上場株式等の所得に関する住民税申告不要等申出書)』と一緒に提出してください。添付書類についても、『市民税・県民税申告書(上場株式等の所得に関する住民税申告不要等申出書)』を提出する場合と同じものが必要になります。
注意事項
・課税方式選択の対象となる上場株式等の配当所得等及び譲渡所得等については、所得税15.315%(復興特別所得税分含む。)と住民税5%の合計20.315%であらかじめ源泉徴収(特別徴収)されているものであり、所得税20.42%を源泉徴収されているもの及び源泉徴収されていないものは対象ではありません。
・源泉徴収口座内において配当所得等と譲渡所得(損失)が損益通算されている場合には、配当所得等のみ申告不要とすることはできません。
・『市民税・県民税申告書(上場株式等の所得に関する住民税申告不要等申出書)』の住民税の特別徴収税額に記載誤りなどがあり、上場株式等の所得と判断がつかない場合、確定申告書の内容により住民税を課税することがあります。
・『市民税・県民税申告書(上場株式等の所得に関する住民税申告不要等申出書)』及び『上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除明細書』は、納税通知書(税額決定通知書を含む。)が送達されるまでに提出してください。送達後のご提出は無効となります。なお、納税通知書の発送時期は、給与特別徴収対象者が5月中旬、普通徴収対象者及び年金特別徴収対象者が6月上旬となります。
・選択する課税方式により、扶養控除等の適用、住民税の非課税判定、国民健康保険税等の金額、医療費の負担割合、各種手当等の給付判定などに影響する場合がありますので、自己責任のもと申告してください。
令和6年度から適用される税制改正(令和4年度税制改正)
上場株式等に係る配当所得等及び譲渡所得等については、所得税と住民税で異なる課税方式の選択が可能となっていましたが、金融所得課税の制度は、所得税と住民税を一体として設計されてきたこと等を踏まえ、所得税と住民税の課税方式を一致させるための措置を講ずることとされました。
また、上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除についても、所得税の確定申告書を提出し、これらの措置を受ける場合に限り、住民税においても適用することとされました。