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令和元年度公営企業会計(水道事業)決算審査の概要

決算審査の概要

 

 令和元年度の総配水量は1,063万8,819㎥、一日平均配水量は2万9,068㎥、総有収水量は928万7,849㎥で前年度よりやや減少している。有収率は前年度より1.04ポイント増加の87.30%と改善されているが、前年度の全国平均値87.41%に比べやや低い状況にある。有収水量1㎥当りの供給単価は154円34銭、給水原価は前年度に比べ1円86銭高く131円78銭で、差引き22円56銭の差益が生じている。限りある水資源を無駄なく水道水として利用していくことは、経営面だけでなく環境保全面からも大切であり、今後とも漏水調査と老朽管の計画的な更新を推進し、有収率の向上に取り組まれたい。

 次に、令和元年度の経営収支状況をみると、水道事業収益の合計額は20億3,915万3,437円で、水道事業費用の合計額は17億8,093万631円となっている。差引きすると、令和元年度は前年度に比べ3,536万2,872円(12.05%)減となっているものの2億5,822万2,806円の純利益が計上されている。その中でも営業収益の根幹を成す水道料金について、引き続き収納率の向上につながるよう努められるとともに、未収金の管理及び不納欠損処理に係る債権管理について、市当局とも連携し、今後も引き続き健全経営の持続を強く望むものである。

 一方、南海トラフを震源とした大規模地震をはじめ自然災害に備えるため、令和元年度から着手した小泉浄水場の津波浸水対策を含め重要な課題である水道施設の耐震化・機能強化及び老朽施設の更新、管理など、強靭な水道施設の整備に引き続き取り組まれるとともに、災害時における水資源の確保に向けて取り組まれたい。また、同じく令和元年度から着手した下平水系・下附水系の統合をはじめとした旧簡易水道施設の集約に向けても積極的な取組を推し進められ、事業規模が拡大したことで、広大な市域からいかに効率的に水資源を確保できるのか将来に向けて引き続き研究されたい。

 これらの課題対応には、平成30年度の簡易水道事業統合による影響の下、多額の事業費が見込まれることに加え、給水人口の減少や節水型機器の普及等による水道料金収入の減少等に伴い、経営環境の厳しい状況が今後とも続くものと思われる。年々純利益の減少が見込まれている状況下において、資金の調達方法として、水道料金の値上げについては慎重に検討することとし、新たに企業債の発行により財源を確保する場合でも、将来に及ぶ負担を考慮し、財政規模に見合う借入を行い、計画的な償還に取り組むなど、健全な水道事業運営の持続に努められたい。

 また、安全で安心な水道水を確保し安定的に供給するため、水道技術の継承といった人材育成をはじめ、中長期的な視点を踏まえた一層の企業努力を講じられ、適切な資本の投入や、資金の確保と経費の節減を図るなど経営の効率化を高め、市民サ-ビスの向上に努められるよう強く望むものである。

 最後に、給水人口や料金収入の減少、水道施設の更新需要の増大及び集約、自然災害への対応等、水道を取り巻く環境の転換期の中、「田辺市新水道ビジョン」に基づき、水道事業の将来を見据え、様々な課題にも応えながら“地域とともに未来へつなぐ安全で安心な水道”が築かれることを期待する。

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最終更新日:202223