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市長のコラム

2014年流行語大賞  (平成27年1月19日)

 毎年、暮には必ず話題となる「流行語大賞」。昨年は、年間大賞に「集団的自衛権」と「ダメよ~ダメダメ!」が選ばれた。
 仕事柄からすれば、「集団的自衛権」を話題にすべきと思われがちなところを、個人的な好みも含めて、あえて「ダメよ~ダメダメ!」に焦点を当ててみたい。
 その前に、この大賞2つには選考上のライバルがいくつかあって、その代表はやはり「ありの~ままで~」だろう。あれほどヒットした「アナと雪の女王」が大賞から漏れたことへの異論は私の周りにも多い。そんなことを思いながら、「危険ドラッグ」や「妖怪ウォッチ」、「レジェンド」など、トップテンを見ていると、昨年一年の世相がうかがえる。では、これら並み居る強敵を相手に「ダメよ~ダメダメ!」が、どうして大賞にかなう支持を得たのかを考えてみたい。
 まずは、コントの出来栄えだ。もちろん、コントそのものに「オチ」があり、笑いを誘う内容になっている。しかしながら、会話自体は下世話なおやじと、壊れた(実際は壊れていないのかも)人形のやりとりである。会話の内容からすれば、一定の年齢の大人にしか理解できないものとなっている。にもかかわらず、子ども達にも大うけだ。とある番組で幼稚園や保育園児にインタビューを試みる。「いいじゃ~ないの~」とマイクを向けると、すかさず園児達は、朱美ちゃんよりかわいい声で、「ダメよ~ダメダメ!」と答える。4、5歳児なら当然となれば、さらに年齢を下げてみる。なんと、2歳児で「ダメよ~ダメダメ!」と答えた子がいたのには驚いた。もはやこれには「大賞」受賞も納得せざるを得ない。
 では、このギャグは何故これほどまでに流行したのだろう。これまた、ある番組での解説によると、この会話は「リズム」という点で実にうまくできているというのだ。「いいじゃ~ないの~」「ダメよ~」「ダメダメ」のフレーズが、雅楽でいう三つの楽章、「序破急」に一致するという。言うまでもなく、「序破急」とは日本の雅楽の舞楽から出た概念で、能楽、連歌、剣術、居合道など芸道論でも用いられる。初部の「序」は緩徐で拍子に合わず、中間部の「破」は緩徐で拍子に合い、終部の「急」は急速で拍子に合うとなっている。これをそのまま流行語に当てはめれば、「いいじゃ~ないの~」は「序」、「ダメよ~」は「破」、「ダメダメ」は「急」となるらしい。この話、この説明で充分と思いきや、さらに続きがあって、終部の「ダメダメ」の繰り返しの「メ」は、ちょうど3,000ヘルツ付近の周波数になっていて、しかもこの3,000ヘルツという周波数は、人の耳の構造上最も聞き取りやすい音であると言うのだ。リズムが良くて耳に残る音となれば、会話の内容はともかく、子供たちにまで伝播するのも当然と言えば当然だ。
 ここで、「負けに偶然(不思議)の負けなし」の言葉が思い浮ぶ。これには前の句があり、全体としては「勝ちに偶然(不思議)の勝ちあり、負けに偶然(不思議)の負けなし」となっている。物事には偶然うまくいくことはあっても、失敗や敗因には必ず原因や理由がある。それを見過ごすことなく、今後の教訓とする必要性を示す内容となっている。
 「ダメよ~ダメダメ」は偶然のヒットなのかは別にして、その理由を様々な観点から探ろうとする姿勢には共感を覚える。
 我々は日頃、ともすれば結果のみにとらわれ、一喜一憂することはよくある話だ。しかし、その結果に至るプロセスや原因を、冷静で多角的な観点で探究できる姿勢を忘れないようにしたい。
 

 平成27年1月19日

shomei    

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最終更新日:2022330