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仙境 南画の聖地、ここにあり

世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」登録20周年記念特別展
きのくに文化月間連携事業
特別展「仙境 南画の聖地、ここにあり」

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和歌山から広がる南画の世界

南画とは、中国絵画に影響を受けて江戸時代に成立した、主に山水や花鳥を描く絵画です。中国の高官が余技としてたしなんだ文人画や、中国江南地方の温暖な風景を柔らかな筆づかいでとらえた南宗画を起源とするもので、江戸中期から人気を博したのち、明治期以降の美術界でも独自の展開をみせました。山と水に恵まれた和歌山は、しばしば中国古典に登場する「仙境」と重ねられ、江戸時代から文人たちの詩や絵画の主題となってきました。そして、近代においても、数多くの南画家が和歌山をめぐって作品を描いており、和歌山はいわば南画の「聖地」でした。
世界遺産登録20 周年を記念する本展覧会は、和歌山県内の3 会場で同時開催し、特に和歌山および京都・大阪を中心とする関西に注目して、近代日本において南画と向き合った画家による優品の数々を紹介します。和歌山県立近代美術館では、江戸期の和歌山、そして明治から戦前期までの関西を中心とする南画の展開をたどります。田辺市立美術館では、和歌山ゆかりの南画家を紹介し、熊野古道なかへち美術館(田辺市立美術館分館)では、和歌山の風景を描いた作品を展示します。この機会に、和歌山の豊かな自然を見つめ直すとともに、それらに通じる南画の清らかな世界観をぜひご覧ください。

「仙境 南画の聖地、ここにあり」展チラシ ダウンロードPDFファイル(2047KB)

 

田辺市立美術館(第2部)・熊野古道なかへち美術館(第3部)

開催期間:2024年10月5日(土) ~11月24日(日)
    ※田辺市立美術館では一部展示替えを行います。
 前期:10月5日(土)~11月4日(月・祝)
 後期:11月6日(水)~11月24日(日)

開館時間:午前10時~午後5時(入館は午後4時30分まで)

休館日:毎週月曜日(ただし10月14日・11月4日は開館)・10月15日(火)・11月5日(火)                   

観覧料:田辺市立美術館:600円(480円)
    熊野古道なかへち美術館:400円(320円)
            ( )内は20名様以上の団体割引料金
              ※学生及び18歳未満の方は無料です。
            ※11月16日(土)・17日(日) は関西文化の日により観覧料を無料にします。  

主 催:和歌山県立近代美術館・田辺市立美術館

助 成:一般財団法人 地域創造

 
関 連 イ ベ ン ト

◆ワークショップ「粘土で山水画をつくろう なかへち編」
 
(実施・運営:NPO和歌山芸術文化支援協会[wacss])

日 時:10月20日(日) 午前10 時~12 時頃
場 所:熊野古道なかへち美術館

講 師:松平莉奈(画家)

対 象:小学生以上 ※小学1・2・3年生は保護者の同伴が必要です。
参加費:500円 ※保険および材料費として
定 員:10名程度 ※要事前申込。定員になり次第、締め切ります。
※電話(田辺市立美術館:0739-24-3770)及び申込フォーム(https://logoform.jp/f/B8G2d)にて予約の受付を行っています。

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講師略歴:松平莉奈(まつだいら りな)

matsudairarina

1989年兵庫県生まれ。2014年京都市立芸術大学大学院修了。京都府在住。日本画の領域で培われた技術や画材を咀嚼しながら、他者について想像することをひとつの主題とし、人物などを中心とする具象画を制作している。
近年の主な個展に、「天使・花輪・ケンタウロス」髙島屋美術画廊(京都、横浜、東京、2024)「3つの絵手本・10歳の欲」gallery αM(東京、2024)、「蛮」KAHO GALLERY(京都、2023)など。
 

◆展示解説会 

田辺市立美術館:10月12日(土)・11月9日(土)
熊野古道なかへち美術館:10月14日(月・祝)・11月23日(土・祝) 
                
※いずれも午後2時から当館学芸員が行います。
※予約は不要ですが、展覧会観覧料が必要です。

第1部 近代の南画、関西にあり  会場:和歌山県立近代美術館

第1部では、江戸期の和歌山を代表する文人画家の紹介にはじまり、明治から戦中期までにおける、京都・大阪や和歌山を中心とする関西のにおける近代南画の動向を探ります。

中国から文人画や南宗画がもたらされた江戸時代、和歌山は日本の文人画の祖ともいわれる祇園南海をはじめ、桑山玉洲、野呂介石ら「紀州三大文人画家」を輩出しました。はじめに、主に田辺市立美術館の文人画コレクションから、彼らの代表作を紹介します。
南画は明治期に全国的な広がりをみせますが、固定化したスタイルなどがしばしば批判の的となりました。しかし、その頃の関西では京都府画学校や浪華画学校のほか、日本南画協会などを通じて、南画家たちが盛んに活動しました。大正期に入ると、近代西洋絵画の影響を受けて「新南画」が流行し、関西でも京都市立絵画専門学校で学んだ若手を中心に盛り上がりを見せます。一方、伝統を重んじる団体として、京都で日本南画院が結成されました。ここでは、学校教育や、美術団体および展覧会といった近代的な制度とも関連しながら、南画の世界に生じたダイナミズムを、ご紹介します。

第2部 近代の南画家、和歌山にあり  会場:田辺市立美術館

近代の南画界において、和歌山は多くの画家に影響を与え、独自の文化を育みました。第2 部では、和歌山と深い関わりのある画家たちの多彩な作品を紹介します。
元武士や学者、商人などが、本業の傍ら余技として描いた明治期の南画は、江戸時代から続く文人的性格が認められます。和歌山は、こうした文人たちが理想とする「聖地」として位置付けられ、多くの画家が清遊しました。
大正期頃になると、和歌山でも伝統的な南画を継承しつつ、西洋絵画などをとり入れ、独自の表現を確立した画家たちが多くあらわれ、県内だけでなく中央の画壇でも活躍しました。
また、昭和期、特に戦中・戦後の混乱期には、現代における「南画」の在り方が模索され、そうした中で描かれた和歌山の風景作品には、この地に対する画家たちの深い洞察が感じられます。

第3部 南画の風景、和歌山にあり  会場:熊野古道なかへち美術館

江戸時代の文人画家の野呂介石が「山水画家は須く南紀の山水を見よ。南紀を見ずして山水を語るなと喝破した」と大正から昭和期にかけて活躍した南画家の矢野橋村は述べています。
江戸時代から日本の文人たちは中国の山水世界を求めて、和歌山をはじめ日本各地を旅し、現地での感興を詩や絵画に託しました。近代においても、文人たちが遊んだ「仙境」である和歌山にあこがれ、数多くの画家がこの地を訪れています。那智の雄大な滝や、吉野に連なる熊野の山々、熊野に臨む奇勝絶景の海岸などを目の当たりにした画家たちは、思い思いにその風景を描き残しました。
ここでは、南画を中心に、描かれた和歌山・熊野とそれに連なる海と山の風景を巡ります。

このページに関するお問合せ先
田辺市立美術館 TEL 0739-24-3770 FAX 0739-24-3771
〒646-0015 和歌山県田辺市たきない町24-43
最終更新日:2024926