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市長のコラム

目的と手段  (平成25年8月21日)

 例年、年度当初に新規採用職員に訓示をする。内容はその都度多少の違いはあるものの、必ず伝えることがある。それは、「目的と手段を取り違えないように」ということだ。「君たちは田辺市職員になることが『目的』ではないはず。それは『手段』にすぎないのであって、『職員として何をするか』という目標を掲げ、日々精進してほしい。」というものだ。
  人は往々にして『手段』を『目的』化してしまう。例えば、お金は何かを手に入れる『手段』であるのに、いつの間にか『目的』そのものになってしまう。それは、学生を対象としたアンケートの一端にも表れており、「もし、宝くじで1億円が当たったら何に使う?」との問いに、「とりあえず貯金する」が最も多いという。このことからも、ふだんから「『目的』を達成するためには、これ位のお金が必要」と具体的に考えている人は少ないようだ。そうした学生に「夢をもて」「目標を掲げろ」という言葉がどれ程届いているだろう。そうは言っても、新規採用職員達の『目的』が「公務員になること」で、「何の為に職員を目指したのか」が明白でなければ、これから始まる長い公務員生活が思いやられる。
  ところで、先日なんとなくテレビを眺めていたときのことだ。人気お笑い芸人達が「旅行」をテーマにしゃべくりを展開していた。「メッチャ行ってみたいところに、いまひとつ気の合わない仲間と行く」のか、「ありふれた行先だけど、メッチャ気の合う仲間と行く」のか、と面白おかしく騒いでいる。しばらくし、「そんなもん、やっぱり『気の合う仲間』やろ」という一言があってCMが流れた。他愛もない会話である。しかしながらそのCM中に考えさせられた。「今の会話は、旅行の行先が『目的』で一緒に行く仲間が『手段』ということに他ならない」。しかも結果は「一生に一度行ってみたい目的地に、手段を重要視せずに行く」のではなく、「目的地は多少どうでも、そのプロセスや同行する仲間を大切にする」方に軍配が挙がったのだ。
  それからしばらく『目的』と『手段』について考えることになった。そんな時は「偶然の一致」が起きるもので、『目的』や『手段』とはまったく縁遠い本を読んでいて、ある一節が目に留まった。それはある宗教の経典の一部らしく、「汝が思うままにできるのは、自分の行動だけで、行動の結果ではない」というのだ。さらに数日後、自衛隊の幹部の方と懇談する機会があった。入隊時の心境について、「それは国防に燃えてのこと」と言いたいが、あの頃の僕は「家業を継ぎたくなかったというのが正直なところ」と言う。もちろんその方は現在、日本の国防の第一線を担う大幹部として活躍されている。
  後日、新成人に挨拶する機会があった。いつもながら『夢』や『目標』に向かって努力する大切さを強調した上で付け加えた。「そうは言っても『夢』や『目標』が未だ明確でない人もいるでしょう。その場合は、家族でも友達でも近所の人であっても、とにかく一番身近な人達に頼られたり、一緒にいて楽しいと思われたり、何かをする時に必要とされる、いわゆる『手段』として選んでもらえる人を目指してみてはどうでしょう。」と。
  選択の『動機』や行動とする『手段』がことのほか『結果』や『目的』に対し遠く感じ、明確な『目標』が描き辛い。そのような時にも焦ることなく、直面する課題に背を向けずに、小さな『信頼』や『実績』を一つ一つ積み重ねていくことが、結果として大きな『成果』につながるということも教訓としたい。

  平成25年8月21日

shomei  

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最終更新日:20151017