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市長のコラム

耳順(じじゅん)  (平成27年7月28日)

 「光陰矢の如し」恥ずかしながら(特に恥ずかしがる必要もないが)、先日の誕生日で人生も58年が過ぎ、また一歩『還暦』に近づいた。『還暦』など通過儀礼の一つとはいえ、人生の節目を前に思うところも体力も、変化の兆しを隠しきれない。
 『還暦』は、60歳の異称としては最も一般的だが、論語でいう『耳順 じじゅん』にも意味深いものを感じる。
 吾十有五にして学に志し(志学 しがく)
 三十にして立ち (而立 じりつ)
 四十にして惑はず (不惑 ふわく)
 五十にして天命を知る (知命 ち1めい)
 六十にして耳順ひ (耳順 じじゅん)

の耳順で、「六十歳にして、人の言うことに逆らわず素直に聴けるようになった」と言うのだ。
 翻って我が耳はというと、あと2年足らずでその域に達するか、甚だ心もとない。孔子にして60年かけての境地だけに、凡人には暫しの猶予が必要と、早くも言い訳を始めている。そんな言い訳をよそに、そのあとに続くのが、
 七十にして心の欲する所に従いて矩(のり)を踰(こ)えず (従心 じゅうしん)
なのだ。人間七十歳ともなれば、心の欲するままに行動しても道理をはずれることはない。人生の終盤はこうありたい。
 しかし一方、現実はどうか?と言うと、そう簡単な話ではない。平成25年7月8日付けの新聞に、「高齢者の万引き摘発、未成年上回る」の見出しがあった。記事によると、「平成24年に東京都内であった万引きで、65歳以上の高齢者の摘発数が、初めて19歳以下の少年を上回った」というのだ。しかも注目すべきは、特に近年の高齢者の摘発数の増加は著しい点だ。その数、わずか10年余り前の平成11年には、336人と全体の6.0%であったのが、平成24年には3,321人となり、24.5%を占めたという。言い方を変えれば、20人に1人の割合が、4人に1人に急増している。その背景について、記事は、急激な高齢化による孤独感や生活困難などと伝えているが、それにしてもこの伸び率には驚きだ。一方、19歳以下はというと、平成24年は前年より千人以上少ない3,195人となっている。
 昨今、折に触れ少年犯罪の凶悪化や低年齢化がニュースになる。確かに、想像もつかない凶悪な犯罪に心痛むことも少なくない。しかし、19歳以下の万引き数は確実に減少しているのだ。これは、全国の年齢層別検挙数の推移をみても顕著で、平成16年に38,912人であったものが、この10年間減少の一途をたどり、平成25年には16,760人と、半数以下となっている。本当に若者は狂暴化しているのだろうか?そして、大人の規範意識はどうなっているのだろう?
 「七十にして心の欲する所に従いて矩を踰えず」
 孔子は74歳で没している。八十にして、九十にして、更にその先は示されていない。
 超高齢化社会を心豊かに暮らす術を、誰かに委ねておくわけにはいかない。
 

  平成27年7月28日

shomei    

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最終更新日:20151017