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市長のコラム

ウインウイン  (平成27年5月19日)

 「ウインウインの関係でいきましょう。」最近、身近な会話中にも時々耳にする。
 コトバンクによれば、「双方がうまくいっていること。特に、政策において両者にとって適度に都合がいいこと。」とあり、外交交渉の場などで二国間の関係を言い表すのに使われる。また、「アメリカのビジネス界で使われ始めた経済用語」でもあり、取引が行われる際に、交渉をしている双方が利益を得られる状態をいう。ビジネス故に当然のことながら、利益を「勝ち」「負け」の二者択一で捉えるあたりは、いかにもアメリカ的発想だと言えなくもない。とはいうものの、「Win-Win」を否定するつもりなど毛頭なく、むしろ良好な人間関係を築く上で、大切なキーワードであることに異論はない。
 しかしながら、この「Win-Win」という言葉の響きからも、どこか軽く聞こえてならないのは、私だけだろうか? 使われ方次第では、「調子がよすぎる」ように聞こえなくもない。そんな思いで、ネット検索をしていると次の解説が目に止まった。それは、「Win-Win」の定義を「私も勝って、あなたも勝つ。人との関係において、私とあなた双方に得のある良好な関係のこと。」とした上で、「特に、ビジネスにおいては日常的に使われている用語で、『ヘ~イ、ジェイムス!また会ったな!さあ、この新しいプロジェクトを通してWin-Winの関係を築いていこうじゃないか~』というように使われます。」とあった。なるほど、この例にある会話は、本来の「Win-Win」の意義を、必要以上に軽いものにしていると言える。もちろん、「Win-Win」の関係を構築する上で、「Lose」を無くす努力をするのだから、逆境は考えず双方Happyで良いに越したことはない。
 しかし、現実はそう上手くはいかない。苦しい時もあれば、厳しい時もある。「Win-Win」どころか、「Lose-Lose」の場合も少なくはない。そのような時にどうするか? いや、逆境の時にこそ、真価が問われる。
 幸いにして私達には、「Win-Win」に勝るとも劣らない言葉がある。それは他ならぬ、「苦楽を共にする」という考え方だ。つまり、「楽」だけでなく、「苦労」も共にするという価値観をいう。しかも、「苦」と「楽」の順序も意味深い。「苦楽」は、「楽」でなく「苦」が先になっている。苦労も共に分け合うことを、先に置いている。「両者にとって適度に都合がいい」状態ならいざ知らず、苦しい時、つらい時に重い荷物を分かち合う中にこそ、真の信頼関係が生まれるものだ。
 私は、職員への訓示で折に触れることがある。「地方公務員の醍醐味、すなわち『やりがい』は、市民の皆さんと苦楽を共にできるところにある。」と。もちろん、「Win-Win」の状態が望ましいのは言うまでもないが、市民の皆さんと「苦楽を共にできる」ことに、真の「やりがい」を感じられる公務員を理想としたい。

 平成27年5月19日

shomei    

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最終更新日:20151017