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市長のコラム

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フラワームーン  (令和2年6月17日)

 「お月見」と言えば、「中秋の名月」ですが、先の5月7日、見事な美しさに溜め息が出る「お月さま」を愛でることができました。それは、敬意を表す「お」も「さま」も前後に必要なほどの「月」でした。「フラワームーン」と呼ばれるその「月」は、ネイティブアメリカンのある部族によって名付けられたそうです。3月、4月に続いて今年最後の「スーパームーン」で、月の公転軌道が楕円のため、最も遠い距離(40万6千キロ)から5万キロ程近くなり、大きさで約14%、明るさで最大30%増となるのです。人の感覚などは実に曖昧なもので、このように数字にすると納得感はいつも以上です。

「いつも以上」と言えば、もう一ついつも以上に感じるものがあります。「特に今年は」と強調して紹介したいのが、「新緑」です。仕事柄もあってか、時々、当地を訪れた方からお勧めの季節を尋ねられます。もちろん、当地は四季折々に魅力があり、一つを挙げるのは困難ですが、あえて言うなら「新緑の季節」です。そもそも紀伊山地の特徴は「植生の豊かさ」で、中でも樫類に代表される常緑の広葉樹(照葉樹)が豊富なことから、この季節は多様な緑の濃淡が楽しめ、美しさの中に力強い生命の息吹を感じます。そこで意を強くして、何人かに「今年の新緑の綺麗さ」について同意を求めましたが、積極的な賛同者は妻くらいでした。

前述の「フラワームーン」の感動から三日後、ある記事が目に留まりました。それは、『温暖化ガス コロナで激減』と言う見出しで、「インドでは大気汚染の改善により都市部からヒマラヤ山脈が見えるなどの現象も起きている」とありました。やはりこれは、「フラワームーン」や「新緑」と同じ現象?と思い読み進めると、「国際エネルギー機関(IEA)の試算では、新型コロナウイルスの影響による経済活動の停止で、2020年のエネルギー関連の二酸化炭素(CO2)の排出量は前年比8%(約26億トン)の減少」とありました。ここでも数字が示すとおり、大気の状態は改善されているのです。今回の経済活動の縮小は、私たちの生活に暗い影を落としながらも、一方では地球環境には好ましい影響を与えているのです。ところで、「8%減」がどのような数値かと言うと、「パリ協定」などが掲げる「産業革命からの気温上昇を1.5度に抑える」には、2030年までに年間「7.6%」のペースで、温暖化ガスの排出量を削減するとされています。すなわち、現在のような状態を保てば目標は達成でき、現状はその削減イメージを実体験していると言えるのです。

その点からすれば、今回の「地球」への好影響を素直に歓迎すべきなのですが、事はそう単純ではないようです。むしろ環境活動家の中には、現状を憂慮する考えさえあるようです。その一つが、この落ち込んだ経済の「V字回復」を望むあまり、「環境への配慮」がなおざりにならないかという心配です。「元に戻す」と、「削減率」は「0」になり、「V字」を越える経済活動となれば、「地球」への負荷は増すことになります。正にダイエット中の「地球」のリバウンドを警戒しているのです。それは、「健康的な食事をしながらダイエット効果を維持する」に等しく、どのようにして今まで慣れ親しんだ生活習慣を改められるかが問われています。

地球環境を「ダイエット」に例えたくらいですから、それをそのまま「経済活動」に置き換えれば、経済回復を「量」だけで求めるのではなく、「質」を重視する必要があるということです。「経済のV字回復」の名のもとに、また以前のように「輸入してまで食べ残す、不思議な国」に戻るのではなく、一定のコストを理解した上で経済回復を目指すのです。これには相当の「消費習慣の改善」が必要ですが。

その様なことを考えている時、「はなまるうどん」の50%値上げが報じられました。現行、かけうどん小一杯150円のところを220円にするというもので、率にすると50%近い値上げとなります。店舗とすればアフターコロナを見据えた、「新しい生活様式」の下での価格を検討した結果なのでしょう。これは何も外食産業に限ったことではありません。映画館などでは、いわゆる「三密」を避けるために座席を一つ飛ばしにするなら、単純に考えても料金は二倍とならざるを得ないでしょう。

つまり、感染予防を前提に「新しい生活様式」に従えば、当然ながら経済活動も「新しい消費価格」となるべきで、「安さ重視」から「品質重視」に、「大量低価格」から「適量適価格」への転換が必要ではないでしょうか。きれいな「フラワームーン」や鮮やかな「新緑」、更には「インドの都市部から見えるヒマラヤ山脈」が、今年限りにならないためにも。

 

  令和2年6月17日

田辺市長 真 砂 充 敏   

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最終更新日:2020623