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市長のコラム

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自然災害  (2018(平成30)年10月31日)

 先日(8月31日)、香川県からの講演依頼により、「香川県市町長防災トップセミナー」に講師として出席しました。「講演」と言えば大層ですが、要は「平成23年紀伊半島大水害」の被災自治体トップとしての経験談を語ってほしいとの要請でした。「丁重にお断り」という選択肢もあったのですが、それでも我々の経験が、「次に起こる災害の被害の軽減に、少しでも役に立てれば」との思いで引き受けました。

 ところが、講演予定の日から僅か2ヵ月前、6月28日から7月8日にかけて、西日本を中心に、北海道や中部地方も含む広範囲に未曾有の豪雨災害が発生しました。報道機関等では「西日本豪雨」とも称されていますが、西日本に限らずあまりにも広範囲におよぶ集中豪雨の発生に、気象庁は「平成30年7月豪雨」と命名しました。「集中豪雨」とは、読んで字のごとく「限られた地域に対して短時間に多量の雨が降ること」ですが、災害の名称に地域名を入れられないほどのものとなりました。

 このことは、「大雨特別警報」の発令状況をみても明らかです。「50年(数十年)に一度の災害の可能性が高まっている」ことを示すこの警報は、2011(平成23)年の「東日本大震災」、「紀伊半島大水害」を契機に、「直ちに命を守る行動をとる必要がある」ひっ迫した状況を伝えるため、2013(平成25)年に運用を開始したものです。それが今回、14府県に発令される「異常事態」となりました。さらに「異常」といえば、この50年(数十年)に一度とされる「警報」が、運用開始以来の5年間で今回も含め、「9回」も発令されています。

 「異常気象」は続きます。「西日本豪雨」のわずか1ヵ月後の7月29日、今度は東から進んできた台風第12号が、三重県伊勢市付近に上陸、その後日本列島西方沖へ進むという、1951(昭和26)年からの観測史上初のこととなりました。さらに言えば、今年8月の1ヵ月間に発生した台風の数が24年ぶりに9個を数えています。ちなみに、8月の月間発生数の平年値が5.9個であることからすれば、その多さに驚かされます。

 「驚き」といえばもう一つ、先日、アメリカの海洋大気局の研究チームの発表によると、台風の勢力が最大となる場所(緯度)が、この10年間で35マイル(56キロメートル)北へ移動しているというのです。これは、海水温の高い範囲が北に広がりをみせていることとも相まって、台風の勢力が強いまま日本列島に近づく可能性が高まっていることを意味します。

 そうした矢先の8月23日、台風第20号により、特に本宮町では川湯温泉をはじめ至る所で甚大な被害が発生しました。私は発災直後の朝、現場に直行しましたが、川湯温泉の浸水被害は想像をはるかに超えるものでした。それは2011(平成23)年台風第12号を上回る水位で、中には言い伝えに聞いた「明治22年の大水害」をも上回る、と言われる人もいたほどです。とにかく異口同音に、「一気に水位が増してくるその速さは尋常ではなかった。」と聞かされました。これこそ「今まで経験をしたことがない被害」となりました。

 全国各地では、毎年のように甚大な自然災害が発生しています。その度に「観測史上初」や「今までに経験したことのない」、あるいは「想像をはるかに超える」といった言葉を耳にします。私たちは何を「想定」し、どうした「経験」に基づいて対応すべきなのでしょう。前述のとおり、今回の私の役目は「被災の経験を次の減災に繋げるため」です。しかしながら、これだけ連続する「想定外」の災害に、我々の経験がどれほど役に立てるのか、無力感を禁じ得ません。それこそ、「丁重にお断り」をすべきだったのでは、とさえ思います。

 それでも約束の日は迫ります。迫るのは日時だけではありません。台風第20号被害も癒えぬまま、今度は台風第21号が日本列島に上陸する恐れが高まっている中、8月31日を迎えました。台風第21号の被害状況については詳しく述べませんが、これもまた関西を中心に、防風や高潮により甚大な被害となりました。そしてさらに9月6日午前3時7分、北海道で初めて震度7を観測する「北海道胆振東部地震」が発生したのです。

 いったい我々は、どのようにしてこうした自然の脅威に向き合えばいいのでしょう。悩ましい限りです。繰り返しになりますが、毎年のように、全国各地で、過去に経験のない、想定を超える被害が発生しています。「危機管理」とはいえ、そもそもこうした自然がもたらす「危機」そのものを、我々人間が「管理」できるでしょうか。過去に学びながらも、経験にとらわれず、常に最悪を想定しながら、柔軟で的確な「判断」と「対応」が求められています。

  平成30年10月31日

田辺市長 真 砂 充 敏   

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最終更新日:2018116