学社融合について
「学社融合」とは、学校教育と社会教育がそれぞれの役割分担を前提とした上で、学社連携を一歩進め、学習の場や活動など両者の要素を部分的に重ね合わせながら、協働して両者共有の教育・学習活動を行うものです。
学社融合によって、学校教育側には、「学校教育の充実」や「学校のスリム化」等が、社会教育側には、「地域活動の活発化」や「コミュニティづくりの活性化」等、双方にメリットがもたらされるという特色があります。
田辺市教育委員会では、「学社融合の推進」を重点項目に位置づけ、学校・家庭・地域の教育力の向上を図るとともに、三者一体となって青少年の健全育成に取り組む体制をつくり、地域の特色ある教育づくりに努めています。
田辺市における学社融合の取組経過
年度 | 内 容 |
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平成14年度 | 完全学校週5日制の開始 ◇各学校、幼稚園に地域連携担当者を配置(県下初) ◇学校、公民館の合同会議、研修会を持ち学社連携・融合を推進 ◇生涯学習フェスティバルで幼稚園、小・中学校における学社連携・融合の取組を展示 |
平成17年度 | 市町村合併 |
平成18年度 | 四者合同研修会を開始(園、学校長・地域連携担当者・公民館長・主事) |
平成19年度 | 「学社融合元年」とし田辺市教育行政基本方針の最重点項目に位置づけ 教育委員会定例学校訪問へ生涯学習関係者の参加 |
平成20年度 | 学社融合の更なる進化・発展を目指す ◇学社融合研究モデル地域として芳養小学校と芳養公民館をW指定(県下初)[田辺市教育委員会指定研究 H20.21年度] ◎研究主題「大人と子どもに感動あるふれあいを」~地域の教育力を生かした学社融合活動の推進~ ◇文科省委託『学校支援地域本部事業』を受け、本宮小・中・公民館に指定し、本宮地域共育コミュニティ本部を設置(H20.21.22年度) ◎テーマ「学び合い、支え合い、高め合う学校と地域社会」 |
平成21年度 | ◇学社融合研究モデル地域として田辺第一小学校と中部公民館をW指定[田辺市教育委員会指定研究 H21.22.23年度] ◎研究主題『「伝え合う力」高める学び合い、大人も子どもも』~学校・公民館一体型施設と地域の力を生かして~ ◇学校に公民館を併設(県下初 ハード面の整備) 東陽中学校に東部公民館を、田辺第一小学校に中部公民館をそれぞれ併設 |
平成23年度 | ◇国・県・市の補助事業を活用した「共育コミュニティ推進本部事業」(学校支援地域本部事業)を市内4地域で設置[H23.24.25年度] ◎田辺第三小学校と西部公民館 ◎新庄中学校と新庄公民館 ◎中辺路小学校と中辺路公民館(栗栖川上分館、栗栖川下分館、二川分館) ◎本宮小学校・三里小学校・本宮中学校と本宮公民館 |
平成24年度 | ◇学社融合研究モデル地域として龍神地区公民館(宮代分館、殿原分館、東西分館)と上山路小学校をW研究指定[H24.25.26年度] ◎研究主題「地域の教育力を生かした学社融合事業の推進」~統合校と地域における学社融合のさらなる推進をめざして~ |
平成26年度 |
◇国・県・市の補助事業を活用した「共育コミュニティ推進本部事業」(学校支援地域本部事業)を市内2地域で設置[H26.27.28年度] ◇世界遺産登録10周年に向けた取組み |
平成27年度 |
◇国・県・市の補助事業を活用した「共育コミュニティ推進本部事業」(学校支援地域本部事業)を市内1地域に追加設置[H27.28.29年度] ◇学社融合研究モデル地域として、東部・南部公民館と東陽中学校をW指定研究[H27.28.29年度] ◇世界遺産登録10周年事業 ◎田辺市熊野古道語り部ジュニア発表会 熊野古道を含む小・中学校18校(小学校11校、中学校7校)のうち、小学生が日本語で、中学生が英語で、校区内の熊野古道について発表した。 満員の観客から拍手喝采を浴びた。 |
平成28年度 |
◇国・県・市の補助事業を活用した「共育コミュニティ推進本部事業」(学校支援地域本部事業)を市内1地域に追加設置[H28.29.30年度] ◇子供たちが語り継ぐ田辺市地域語り部ジュニア発表会 熊野古道を含まない小・中学校23校(小学校16校、中学校7校)のうち、小学生が日本語で、中学生が英語で、校区内の産業や歴史などについて発表した。 |
平成29年度 |
◇学校と地域が一体となって取り組むふるさと学習 市内の小・中学校で、ふるさと学習の一環として継続的に取り組んでいる「田辺市地域語り部ジュニア活動」で学習した成果を、学校の参観日や学習発表会等の機会に、児童・生徒が保護者や地域の方々に発表した。 ◇学校運営協議会(コミュニティスクール)の設置に向けた取組 平成30年4月から、市内すべての公立幼稚園、小学校及び中学校を対象に設置する、田辺市学社融合推進協議会(コミュニティスクール)の運用方法について、教育委員会内(生涯学習課・学校教育課)で協議をし、制度化に必要な準備作業を実施した。 |
平成30年度 |
◇共育コミュニティ本部事業研究発表会 「未来へつなぐ ふるさと上秋津 ~世代を繋ぐ・学びを繋ぐ・心を繋ぐ~」を研究テーマに、上秋津地域共育コミュニティ本部事業研究発表会を開催した。大勢の参加者のもとで、様々な実践提案を行うことができた。 ◇学社融合推進協議会の設置、活動の開始 平成30年度から、「学校運営協議会(コミュニティスクール)」として「田辺市学社融合推進協議会」を田辺市教育委員会が所管する市内全ての幼稚園・小・中学校を対象に設置し、具現化を図った。これまでの学社融合事業を生かし、学校、家庭、地域が一体となり、「地域とともにある学校づくり」を目指した組織の構築と課題に迫るための仕組みづくりに努め、取組を充実させてきた。 |
令和元年度 |
◇学社融合推進協議会の活動充実 学社融合推進協議会が発足して2年目となる今年度は、活動内容の充実に重点を置き、それぞれの協議会で特色ある実践を展開した。学校や地域の課題を共有し、課題解決を図るために熟議を重ね、学校と地域が協働するといった体制がそれぞれの協議会で形成された。 ◇「地域学校協働活動」推進に係る文部科学大臣表彰を受賞 大塔地域学社融合推進協議会は、大塔地域共育コミュニティ組織と連携して、「選択交流学習」や「大塔リフレッシュ大作戦」、「鮎川ふれあいスクール」等々、様々な取組を継続的に行ってきた。これまでの活動が評価され、文部科学大臣表彰を受賞した。 |
令和2年度 |
◇新たなスタイルの「学社融合研修会」の開催 新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、従来の学社融合活動を実施しにくい状況が続く中であったが、今までの取組を後退させないために、1か所での開催から4ブロックに分けて、短時間、少人数での開催へと形態を変えて「学社融合研修会」を実施。各校の事例発表と講師による講演の2本立てで構成し、参加者からは開催形態や研修内容等についておおむね高評価をいただき、コロナ禍においても持続可能な研修会の開催方法として、1つのモデルを提案することができた。 ◇田辺市学社融合推進協議会規則の改正 学社融合推進協議会が発足して3年目となるが、これまでの各協議会の取組を深め、さらに充実させていくための根拠である規則を、田辺市学社融合推進協議会の姿に合うようにするため、規則の改正を行った。 |
令和3年度 |
◇「学社融合研修会」の充実・深化 コロナ禍ではあるが、学社融合推進協議会の活動を停滞させないため、学社融合研修会に重点を置いて取り組んだ。持続可能な学社融合の取組とは何かを考えるきっかけを提供することができた。また、学社融合を進めるうえで公民館の果たす役割の重要性を周知することもできた。 ◇「学社融合推進協議会報告書」の改善 学社融合推進協議会報告書に内容改善を図った。学校運営協議会と地域学校協働活動の両方を具体的に明記するように改善した。熟議から活動へと一連の流れを系統的に明記することで、他の協議会が同様の実践を行う際の資料としても活用できるように改善した。 |
令和4年度 |
◇「学社融合研修会」の内容充実 3年ぶりに28協議会が一堂に会し、大人数での研修会を開催した。前半はトークフォークダンスという形式の話し合い活動を、後半は津屋崎ブランチLLP代表の山口覚氏による講義を実施した。「学校と地域を結ぶ ―対話による多様性・寛容性溢れる地域づくり-」という話題で、先進的に実践している地域の様子など具体例を挙げながらお話をしていただいた。その後、参加者がグループごとに地域の取組の様子や課題について交流し、課題解決につながるような対話を行った。 ◇発足5年目となる「田辺市学社融合推進協議会」の発展 学社融合推進協議会が発足して、5年目の節目の年を迎えた。昨年度までの3年間は、コロナウイルス感染症の影響を受けて活動を制限せざるを得なかったが、今年度はそれぞれの学社融合推進協議会が活動を拡大し、工夫した実践を展開した。今までの取組の振り返りを行うとともに、学社融合推進協議会の協議の在り方についても改善を図るよう各協議会に提案した。 |
令和5年度 |
◇「学社融合研修会」の内容充実 28協議会が一堂に会し、田辺市学者融合研修会を開催した。前半は、「共に育む将来の担い手」と題し、白川村教育委員会事務局 課長補佐の新谷さゆり氏による講演を実施。白川村や全国各地で実践している様子など、具体例を挙げながら講演していただいた。後半は、テーマに沿ってグループ内で意見交流し、課題解決への糸口を探った。 ◇「世界遺産学習全国サミット」で学社融合の実践を報告 「世界遺産学習全国サミット」を、本市で開催した。新庄公民館主事が、「公民館がつなぐ学校と地域」というテーマで、学社融合の取組について提案発表した。また、熊野古道地域語り部に指導を受けた中辺路や本宮の小・中学生は、古道ジュニア語り部として実演した。田辺市教育委員会が進めている学社融合が、一層の深化・発展を遂げていることを実感した。 |
学社融合推進協議会活動報告集・学社融合実践集録
田辺市では各年度ごとの取組を冊子にまとめています。